研究プロジェクト


Energy Efficient Computing

エネルギー効率を最大化する計算の方法に関して、ハードウェア設計手法から計算アルゴリズムまで幅広く研究しています。特に、ハードウェアに供給する電源電圧と基板バイアスを最適制御することによりエネルギー効率を最大化する方法を研究しています。

 我々の研究室では、プロセッサシステムに要求される性能を満足した上でプロセッサ全体の消費エネルギーを最小化する電源電圧と基板バイアスを簡単に導出する方法の研究を行っています。また、太陽光や風力などにより生成された自然エネルギーを高効率で活用するための電源システムの研究も行っています。さらには、リアルタイムOSとの連携により、プロセッサ上で実行されるタスクに対して常に最適な電源電圧と基板バイアスを使用させるための電圧スケジューリングの研究も推進しています。

Near Threshold Computing

CMOSトランジスタで構成される集積回路は、トランジスタのしきい値電圧付近の電源電圧で回路を動作させること(Near-Threshold Computing)によりエネルギー効率を最大化できることが分かっています。しかし、しきい値電圧付近の低い電源電圧を使うと動作速度が劇的に低下する問題やノイズ耐性が劣化する問題あるいはトランジスタの特性ばらつきが相対的に増大する問題があります。

 我々の研究室では、低い電源電圧でも誤動作することなく安定して動作するオンチップメモリのアーキテクチャを研究しています。ラッチセルに基づく低電圧メモリ(Near-Threshold Memory)と従来のSRAMを適切に組み合わせることにより高性能と低消費エネルギーを両立できることが分かって来ました。オンチップメモリだけでなく、低電圧下で特性ばらつきを増大させない回路方式や設計手法の研究も行っています。

In-Network Optical Computing

光の通信ネットワーク中(In-Network)で簡単な計算を実行する方法を研究しています。光技術は従来、遠距離通信のための技術でしたが、近年のナノフォトニクス技術の急激な進展を背景に光技術が活躍する場所がどんどん近距離ネットワークにも拡大しつつあります。最近ではプロセッサチップ内のバス配線に光技術を適用する研究も活発に行われています。

 我々の研究室では、通信だけではなく光ネットワーク中の簡単な計算に光技術を利用(In-Network Computing)する研究を行っています。光の速度(100ミクロンの距離をおよそ1ピコ秒で伝搬)で信号を伝搬させることにより、従来のCMOS集積回路より一桁以上高速な光演算器を実現することを目指しています。

 本プロジェクトは、NTT、九州大学、京都大学と共同で実施しています。

Graph Processing Acceleration

グラフ処理を高いエネルギー効率で高速化するプロセッサアーキテクチャについて研究を開始しました。現在、研究の具体的な方向を検討中です。例えば、しきい値近傍の電源電圧で動作するメモリ(Near-Threshold Memory)中でグラフ処理に特化した演算を高バンド幅で実行するNear-Threshold In-Memory Computingの研究を実施する予定です。

 本プロジェクトは2018年10月に始まった若いプロジェクトです。東京大学および九州大学の研究グループと共同で実施しています。